バナナうんち先生

私が小学校一年生、入学式の日の話だったと思う。
体育館で入学式が終わり、教室に父母やクラスの子らが入り、
まだどよどよとざわめいていた。

担任の女の先生が自己紹介を終えたあたりだっただろうか、
その先生は、ボリボリと白髪頭を掻きながら、大きなおなかを突き出し、
スタスタとスリッパで教室に入ってきた。

スタスタと入ってきた先生は、教卓に両手をつき、ニッコリして
私達の顔を見渡した。

先生は、ボサボサ白髪の、眉毛はモジャモジャと太くて黒く、肌も黒く、
おなかのでた、ネクタイをしていない、くたびれた灰色のスーツを着ていて、
今思うととてもじゃないが、入学式向けの格好ではなかった。

入学式向けの父兄を尻目に、先生は黒板の一番左に、
チョークで小さな丸を沢山描き出した。
私達は、先生は一体何をしているのだろうと思った。


「これは、ポロポロうんちです。」
振り向き開口一番、大きな声で、先生はそう言った。

一瞬、クラスの全員がポカ~ンとした。
その直後、ワハハハハハと笑いが弾け起こった。

「ポロポロうんちは、お水をあまり飲まなかったり、ずっとうんちを
ガマンしていると、なります。」
と、先生は言った。

続いて先生は、黒板の一番右に、ぐしゃぐしゃと塗りつぶした絵を描いた。

クラスの男の子達は、もうなんの絵だかわかった!というように、
「げりだ!」「げりだー!!」と騒ぎ出した。

「これは何うんちか、わかる?」
一番前の席に座っていた男の子に、先生がニッコリして質問をすると、
当てられた男の子は照れくさそうに、後ろを振り返りたそうにしたり、
モジモジニヤニヤしながら、「げりです。」と答えた。

皆わかっている答えだったけれど、その瞬間、また笑いが起こった。
先生は、「アタリ!」と言って、またニッコリした。

「げりうんちは、冷たいものを食べすぎたり、おなかを出して寝たり、
お水を飲みすぎたりすると、なります。」
と、先生は言った。

そして先生は、黒板の真ん中に、でかでかとした、
バナナの形をしたうんちを描いた。

クラスは大騒ぎで、先生のうんちの話にすっかり心を奪われていた。
男の子達も女の子達も、机に突っ伏して笑いをこらえたり、イスから
転げ落ちそうになりながら、先生の描く次のうんちの話を待っていた。

描き終えた先生は振り向き、ひときわ大きな笑顔でこう言った。

「これは、バナナうんちでーす!

皆さんは、ポロポロうんちでもなく、ゲリうんちでもなく、
バナナうんちを毎日するようにしましょう!!

先生の名前は、いぬかい先生です。
だけど難しいから、バナナうんち先生って呼んでね。」

そう言って、スタスタと出て行った。


クラス中、しばらく笑いが止まらなかった。
中に入るのを遠慮して、廊下から顔だけ覗かせていたお父さんや、
お母さん達も、一緒に笑っていた。
そして、紅白のおまんじゅうを頂いて、皆家に帰った。


バナナうんち先生は、それからヒーローになった。
学校の子どもは、一発でバナナうんち先生の顔を覚えた。
休み時間には、常に10人くらいの子が、ぞろぞろとおしりやおなかにくっついていた。


そういえば後からわかったのだけれど、バナナうんち先生は
副教頭先生だった。

そんな、思い出の話。




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by otyou0710 | 2012-06-26 17:08 | 雑記

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